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私と同じように瞳孔が縦に細長く、血を連想させる深紅の瞳からは涙が溢れんばかりに溜められている。



ここで私が慰めようが、責めようが、はたまた何もしなくてもこのダムの決壊は避けられない。











はぁ。











無意識に出たため息が運悪く聞こえてしまったみたいでこれがダムの決壊の合図となってしまった。











ことのはじまりは1時間程前。



天気も良くぽかぽかしてて、心地良いそよ風が吹いてお昼を食べた後というのもあいまってふわふわとした感覚を覚えながらもどんどん深いところへ行くのを感じている時、まさに至福のひと時をぶち壊しに奴は来た。







その犯人は、彼女が出来て同棲している弟のヨルムだと思う。











犯人は動作こそ、土足で踏み荒らすような、はちゃめちゃなことはせず寧ろ躾が行き届いてる(躾たのは私)のだが、至福のひと時を邪魔されたのと、恐らく面倒臭いことを持って帰ってきたであろうヨルムのことを思うと好感よりも敵意を覚える。











「ヘル~?居ませんかぁ?」







ほら、この情けなく覇気がない声は泣き事を言いに来たヨルムの声。



そんな声を掛けながらも私の居るところは分かっている様でまっすぐ歩いて来るのが分かる。







あとドア一枚のところで彼の足が止まった。



躊躇しているのだろうか、私がいるこの部屋に入ってくるのにほんの少し間があった。



いっそこのまま踵を反して何事も無かった様に来た道を戻ってしまえば良い。そして私はこのまま深い眠りへと進んで行きたい。







だが、無惨にも私の願いは取下げられて今に至る。















「…ヘル……」







ようやく落ち着いてきたのかヨルムは話はじめた。







「どうして、フェンは結婚出来たのですか?」







それはこっちが聞きたい。







私の二つ上、ヨルムの六つ上にフェンリルという引きこもりに近い生活をしている絵本作家の兄がいる。



その兄は妹の私がいうのも可笑しいが、何故か結婚している。







この話題をヨルムが持ち出すのは決まって振られた時。今回は同棲して割と長く持ったと思ったのにまた振られたかぁ。











「ヘル…俺……」







「?」



聞き取れない。



ここで聞き返しても同じ言葉は言ってくれない気がしたから聞き返さずに



「――そう。」



とだけ返事をしといた。











「うん、そうなんですよ。ですから……がんばります」







とだけ言って弟は出ていった。



それもあっさりと!



彼は何しに来たのだ?私の心地良いまどろみを壊しに?そして愚痴りに?



















「そんなことのために私のところに来たの?」

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